「リチャード・ジュエル」を観に行ってきました!
あらすじ
1996年、警備員のリチャード・ジュエルは米アトランタのセンテニアル公園で不審なリュックを発見。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。
事件を未然に防ぎ一時は英雄視された彼だが、現地の新聞社とテレビ局がリチャードを容疑者であるかのように書き立て、実名報道したことで状況は一変。さらに、FBIの徹底的な捜査、メディアによる連日の過熱報道により、リチャードの人格は全国民の目前でおとしめられていった。そこへ異を唱えるため弁護士のワトソンが立ち上がる。無実を信じ続けるワトソンだが、そこへ立ちはだかるのは、FBIとマスコミ、そしておよそ3億人の人口をかかえるアメリカ全国民だった――。
上記があらすじであるが、映画の中で主人公のリチャードは法執行官に憧れ、人一倍正義感の強い人物であるがゆえに周囲とうまくいかず変人として見なされており、自身が願う職種につけていない。また、実家で母親と暮らしていることやぽっちゃりとした体形などから生じる偏見もあり、誰もが犯人として疑うようになっていく。
見どころ
メディアと国家権力の持つ力って恐ろしい
この映画では、一旦は英雄として祭り上げられた主人公リチャード・ジュエルがテロの容疑者として追い詰められていくが、疑われるようになったきっかけはなんの証拠も得ていないのにも関わらずFBIの捜査官が「プロファイリングをもとに捜査線上にリチャードが浮上している」と地元紙の記者に伝えたためである。このため、連日メディアが報道する事態となり、リチャードの家族も含めメディアに追い回され普通の生活が送れない状態になってしまう。
FBIの捜査線上に上がっていたのは確かであり、新聞が報道した内容なある意味正しかったかもしれませんが、一度報道されてしまうと「被疑者」であっても「犯人」扱いされてしまいその人の生活やプライバシーが奪われてしまう。この点からも、メディアの影響力というのは恐ろしい。
当時はSNSが無かったが、もし同じことが現代で起こるとSNSなどでより広く情報が拡散し、ますます中傷されるといった酷い状態になっていたのではないだろうか。また、拡散された情報は偽りであっても半永久的に残り続けるはずである。
本作品では、FBIはリチャードを犯人として、いやむしろ犯人にすべく法に触れるような捜査を行った様子が描かれている。矛盾点があるにも関わらず、本人や家族のみならず友人などにも執拗に追及を行っていく姿から、国家権力というのは動き出してしまうと誤りに気付いたとしても自己を否定して進むべき方向を正すというのは難しいのかなと感じます。また、メディアや国家権力・国民に立ち向かい自身の無実を証明するのは途方もないことだと思いました。
信じてくれる人がいるというのは有難い!!
メディアやFBIにより追い詰められていくリチャード。そこで、かつて唯一自分を人間らしく扱ってくれた弁護士のワトソンに助けるを求める。ワトソンは、リチャードに久しぶりに会ったにも関わらず、リチャードを信じてメディアやFBIに立ち向かっていく。また、母であるボビもリチャードを信じ、報道陣を前に涙ながら息子の無実を訴える。
弁護士のワトソンも母親であるボビも、リチャードのことを信じて周りの誹謗中傷に耐え、FBIの見当違いの追及にも一緒になって立ち向かってくれる。もし、自分がワトソンやボビの対場にあったならば同じようにできるだろうか。この映画を見て痛感したのは、「本当に困難な時に信じて支えてくれる人がいるというのはなんて有難いことなんだろう」ということである。
見終わっての感想
この映画では、いたって普通でまじめな主人公があるきっかけによりテロリストとして疑われ家族も含めて追い詰められていく様がリアル過ぎて、観ているこちら側がつらくなってしまう。しかし、物語のひとつの山である母親のボビが会見を開くシーンは、ボビ役のキャシー・ベイツのすばらしい演技もあり本当に感動させられる。また、「母の愛って偉大だな」としみじみと感じさせれる名シーンではないかと思う。
また、本作品では間違ったことでも報道されてしまうと“真実”として大勢が捉えてしまう恐ろしさも描かれている。現代では、ブログやSNSといったもので個人がメディアの様に情報発信が可能であることから、自分の不用意な発言が他人の人生を狂わせてしまうかもしれないと肝に命じ、本当に正しいことは何か考え、責任をもった情報を発信しないといけないと考えさせられます。
私はこの作品を観終わって、クリント・イーストウッドが監督を務めた「アメリカン・スナイパー」と違って多少ハッピーエンドな作りになっているものの、主人公のその後の人生を想像すると簡単に名誉が回復されるわけがないのできっと大変な苦労が伴ったのではないかと推測され、完全にすっきりした気持ちにはなれませんでした。しかし、メディアだけではなくネットなどを通じて様々な情報が溢れている現代だからこそ、大勢の人にこの映画を見て欲しいと思えるすばらしい作品だと考えます。
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