珠玉の短編集
東野圭吾さんの『素敵な日本人(光文社)』は、9つの短編からなっている小説ですがそれぞれにアッと驚くような展開があって、短い中によくこれだけの要素を盛り込めたなと感心させられます。それぞれ1冊の本になってもいいようなものばかりで大変お得な一冊!
収録されている短編は以下の通りです。
- 正月の決意
- 十年目のバレンタインデー
- 今夜は一人で雛祭り
- 君の瞳に乾杯
- レンタルベビー
- 壊れた時計
- サファイアの奇跡
- クリスマスミステリ
- 水晶の数珠
ミステリー的な短編もありますが、それぞれ思いもよらない職業の主人公の話であったり、近未来の話であったりと「よくこんなに細かなストーリーが思い浮かぶなぁ」と感心するぐらい描写や設定が細かくて(短編なのに)本当にびっくり!
「人間」や「人生」についてフューチャーした小説!?
この短編集を読んでみて感じたのは、これは「人間」や「人生」を題材にした小説ではないかということです。
本作は、フィクションでありながらどれももの凄くリアリティがあります。このリアリティを生み出しているのが、1つ1つの設定や描写が細かい点に加えて、短い中にも成功や失意、ささやかな喜び、愛憎など様々な人生の要素が巧みに盛り込まれているからだと思います。
それぞれの物語を通じて、読み手に登場人物の生き様を文学として楽しませながら、「人間」や「人生」についてどこか考えさせられる1冊ではないでしょうか!?
おススメは「サファイアの奇跡」
個人的なオススメは、7番目に収めされている「サファイアの奇跡」です。ストーリーとしては、小学生の女の子が神社で見つけた野良猫を可愛がるようになるというのが前半部分で、後半はいきなり十数年後に飛び主人公も男性に変わります。あまりの急激な変化に、最初は「あれ、さっきの短編はあれで終わりだったのかな?」と驚きました。東野圭吾さんの作品をいくつか読んだことがありましたが、ここまで急転するストーリーは初体験です。でも、最後はほっこりする要素もあって面白い作品です。
今回、ご紹介した「素敵な日本人」はそれぞれが独立した短編なので通勤途中など隙間時間に読むのにぴったりな1冊です。また、それぞれにどんでん返しがあるので落ち着いた時間にじっくりに読むのもオススメです。
あなたの読書スタイルに合わせて楽しんでみて下さい!!
今回、ご紹介した本が気になった方は下記から購入可能です!
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