個人的 池井戸潤作品No.1!!
最近、家で読書と合わせてよく映画やドラマを見ているのですが、先日Amazon PrimeでWOWOW制作のドラマ「アキラとあきら」を見ました!
これは、池井戸潤さんの小説をドラマ化したものなのですが、他の池井戸作品と少し趣が違って見終わった後に爽快感が残る作品でした。また、主演の向井理さんと齋藤工さんがそれぞれアキラ・あきら役にぴったしでしたし、さすがWOWOW作品と言える豪華な俳優陣の演技が素晴らしかったです!
「アキラとあきら」がとても気に入ったので小説も買って読んでみたのですが、こちらも非常に良かったです!!
アキラとあきらの物語
「アキラとあきら」の主人公は、山崎瑛(やまざきあきら)と階堂彬(かいどうあきら)の二人の“アキラ”。
小説では、山崎瑛と階堂彬の子供時代から社会人までの約30年を過去から現在という流れで描かれています。このある人物の人生を過去から順に描いていくというのは、他の池井戸作品と少し異なっており珍しいのではないでしょうか?
(ドラマ版では、二人が社会人になり同じ産業中央銀行に入行したところから始まり、現在と過去を行ったり来たりしながら物語が進んでいきます)
山崎 瑛
主人公の一人である山崎瑛の父は、かつて静岡県の三島で工場を経営していましたが瑛が小学生の時に倒産。瑛は、母や妹と夜逃げ同然で祖父母の所へ逃れます。倒産の原因は、取引先に収めた部品が不良品で賠償しろと要求された事に加え、銀行が追加の融資に応じなかったことが一因となっており、この倒産が瑛のその後の人生に影響を与えます。
その後、父は知り合いの会社に再就職できましたが、瑛が高校三年生の時に不良品が生じた責任を取らされクビになってしまうかもしれないという状況に陥ります。そんな状況で大学に進学したいと切り出せず就職を決意する瑛でした。しかし、父の勤務先の取引銀行の担当者が瑛の自宅に通ってきて夜遅くまで父と銀行に提出する資料作りを行った結果、父の勤務先は銀行からの追加融資を受けることに成功し、父も引き続き働くことができるようになります。そして、瑛が大学へと進学する道が拓けました。
瑛は東大卒業後、かつての父のような人を助けたいと思い大手銀行である産業中央銀行に入行。しかし、現実とのギャップに思い悩む。
階堂 彬
階堂彬は、業界王手の海運会社「東海郵船」の経営者一族として何不自由なく子供時代を過ごします。
階堂家の長男であり、文武に秀でた彬は祖父や父から将来家業を継ぐことを期待されるも本人は決められた道を進むことに反発。家業と関係ない一般企業への就職を考えていた大学生の時にたまたま東海郵船を担当する産業中央銀行の行員に接する機会があり、東大卒業後は産業中央銀行へ入行。
バブルで浮かれた世の中や銀行に戸惑い、懸念を頂きながらも持ち前の才覚を生かして順調に銀行でキャリアを重ねていく。そんな中、父である階堂一磨が病に倒れ、周囲の人々の思惑から彬の弟である龍馬が東海郵船の社長に就任するのだが、、、
アキラとあきらの出会い
子供時代の境遇がまったく正反対と言ってもいい瑛と彬ですが、何度か偶然すれ違う場面があります。そして、二人が大学卒業後に産業中央銀行に就職することで、二人の運命が点から線にやがて糸のように絡み合っていく姿が小説では描かれています。
また、ドラマ版の方が瑛と彬それぞれの担当先を引き合わせてビジネスに繋がるコラボレーションを実現や、二人を知る同級生の女性を巡る関係が描かれたりと小説にはない二人の繋がりが登場します。
本作品の見どころ
本作品の見どころは3つあります。
1つめは、全く違うタイプの瑛と彬ですが、お互い持ち前の才能を生かしてひたむきに仕事に取り組んでいく姿に好感を抱く点です(小さい頃から知ってる子がこんなになってっという感慨に近いかもしれません笑)。
2つ目は、池井戸作品には珍しく主人公の半生を子供の頃から30年近くにわたって順にストーリーが展開されており、登場人物の背景なども丁寧に描かれているのでそれぞれのキャラクターが非常に立体的な点です。
銀行が救いの手を差し伸べてくれる工場を潰してしまった瑛の父が、瑛が銀行に就職することになった時に言った一言。彬の叔父たちがバブルの時に無謀なプロジェクトに乗り出してしまった理由など、そこまでに至る経緯や背景が物語の中に散りばめられていてとても奥行きのある作品になっています。
3つ目は、物語後半にかけて彬の二人の叔父のバブル時の失敗に巻き込まれる形で東海郵船が危機に陥ります。しかし、瑛と彬が力を合わせることでなんとか乗り越えられハッピーエンドを迎えます。このエンディングでは、半沢直樹シリーズのようにそれまで主人公を徹底的にいたぶってきた悪役に反撃し叩きのめすといったテイストとは異なり、読み終わった後に痛快感よりも爽快感が残る作品になっている点です。
小説版とドラマ版の違い
小説では二人のアキラの小学生時代から順を追って描かれていますが、ドラマ版では二人が産業中央銀行に入行するところからスタートし過去と現在を行ったりする形に再構成されています。また、瑛と彬の関係をより結びつけるようなオリジナル要素も加えられている。個人的には、小説をリスペクトしながらドラマ版としてより良くしようという試みでありこれはこれでありなのではないかと思う。
また、瑛と彬がまっすぐに仕事に打ち込む姿や見終わった後の爽快感はドラマ版でもまったく失われておらず、主演の向井理さんや齋藤工さんに加えて脇を固める役者さんのチョイスが素晴らしいなと感じました。
やはり、地上波と異なるWOWOWだからこそできた骨太な作品だと思いますので、ぜひ小説と合わせてみて下さい!!
今回、ご紹介した本が気になった方は下記から購入可能です!
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