勇気の心理学
有名な書籍ですが、なんとなくタイトルが好きになれずこれまで読まなかった「嫌われる勇気(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)」に挑戦してみました。
「嫌われる」という文言が印象に残りますが、本の中身は嫌われることを推奨しているわけではなく「勇気」を持って自分自身を変えていく事を応援する内容ではないかと思います。そんなアドラー心理学を本書では、「勇気の心理学」と呼んでいます。
読みやすい対話形式になっている
心理学の本と聞くと、専門用語が出てきて読み進めにくイメージを持たれる方もいるのではないかと思いますが、本書では哲学者と青年が対話する形をとっているので口語的な文章になっています。このため、本書ではギリシア哲学を研究する「哲学者」と哲学者の噂を聞きつけてやってきた「青年」の二人しか登場しません。
しかし、この登場人物の「青年」がなかなか過激笑。「世界はどこまでもシンプルである」という持論を持つ「哲学者」をなんとか論破しようと議論を吹っ掛けるが、その口ぶりは攻撃的であり物言いも過激である。一方で、優秀な兄と比べられ育った過去からコンプレックスの塊のような「青年」にはどこか「自分もそういったコンプレックス」があるなと親近感を抱いてしまう側面があります。
そんな「青年」からの問い(時には批判)に、ギリシア哲学の研究者でありながらアドラー心理学に通じている「哲学者」が事例を用いながら答えていき、アドラー心理学の核心に迫っていきます。
原因論と目的論
私は、心理学には詳しくありませんがフロイトやユングといった人物の名前を耳にした事はありました。そして、アドラーはその2人に並ぶ心理学の巨頭のようです。
この本によると、フロイトやユングの心理学は「○○という過去の事象があったから△△という行動をとる」といったように現在の人物の言動などを過去の出来事が原因とする立場です。一方、アドラー心理学では人々が取る行動の裏には、例えば親の気を引きたいといった「目的」があるといった立場を取っていることが説明されています。
普段、私たちは「原因論」で物事を捉えがちなので、この「原因論」と「目的論」の違い(物事の捉え方のアプローチの違い)を理解するのがポイントではないかと思います。
(難しい言葉を極力使わず、事例を用いて説明されているのでそんなに構える必要はないかと思います)
問題は後半にかけて!
本書の頭から中盤にかけては、「青年」の攻撃的な言動に苦笑いしながらも楽しく読み進めていくことができます。しかし、後半にかけてアドラー心理学の神髄である「共同体感覚」という用語が出てくるあたりから難しくなってきます。用語が難解なのではなく、これまでの私たちの価値観を一変させるような新たな考え方なので戸惑うといった方が正しいかもしれません。
何度も何度も繰り返し読むことで、アドラーが提唱している考えが腹に落ちるのではないかと思います。
嫌われる事を推奨しているわけではない
冒頭でも書きましたが、「嫌われる勇気」というタイトルが印象的ですが、アドラーは決して嫌われる事を推奨しているわけではなく「好かれる」「嫌われる」という他人の評価に依存する事から脱却し、自分が持っている能力を生かして他者貢献を行い「自分は有益だと」感じられるよう過ごしていくことを提唱しています(難しいのが、他人から褒められるかどうかではないということ)。
本の中では、アドラーはすべての問題は「対人関係」だと捉えているとされ、アドラー心理学がその答えになると書かれています。一通り読めばアドラー心理学の考え方の導入部分は知る事が出来るかと思いますが、アドラー心理学を実践しながらどのように他人と適切な距離を取っていくかについてはもう少し詳しく知りたいと思いました。
よく読むべき本として上位に出てくるだけあり、何か人生や人間関係について示唆を与えてくれる本だと思うので、みなさんも一度読んでみてはいかがでしょうか?
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