構成・展開が素晴らしい1冊
新装版が出た頃に、ラジオDJさんが番組で紹介されていた岸田るり子さんの「無垢と罪(徳間文庫)」を読みました。この小説は6つの短編で構成されていて、1編1編は一見関係ないようでも現代→過去→現代とストーリーが展開されていくうちに、過去に起こった事件を中心とした様々な出来事の真相が真相が徐々に明らかになっていきます。そして、最後には衝撃の結末を迎えるというものになっています。
時間軸も主人公も変わるが、、、
この本の魅力のひとつが、時間軸が現代→過去→現代と行ったり来たりしつつ、短編ごとに主人公が変わるので描かれている目線が変わっていく点。しかし、1冊通して読んでみるときちんと繋がっていて、クライマックスに向けて謎が明らかになっていきます。登場人物の名前や関係性が覚えるのが得意ではないという方は少し苦手に感じてしまうかもしれませんが、個人的には「あの時、あの人はこういう風に思ってたのか」「こういう理由からああいう行動をとったのか」というのが分かっていくのが面白く、読み始めたら続きが気になって仕方がない小説でした。
幸せと不幸せのバランス
この小説の最後は若干ハッピーエンドのような形であるが、スカッとするようなエンディングではありません。また、作中には過去の出来事を経て幸せになっている人物もいるが、不幸せになっている人が多いと思う。このあたりが、作者である岸田さんの人生観なのだろうか。
でも、登場人物それぞれの状況に同情したり良かったなと思ってしまうのは、作者の人物描写のうまさだと思います。
事件の解決の糸口をどう捉えるか
物語を通じて、ちょっとした掛け違いやほんの些細ないたずら(悪意)が様々な出来事を引き起こしやがて大きな事件に発展するという、どこにでも起こりそうなリアリティを持った展開になっています。だからこそ、最後に超常現象という非現実的なものが事件の真相が明らかになるきっかけとなったのは個人的には少し残念。いや、逆に私の読みが浅く、ラストの非日常感が対比として物語にアクセントを加えているのだろうか!?このあたりは皆さんに一度読んで頂いて、どのように感じたか教えて頂ければと思います。
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